突然ですが、あなたはその場の判断を信じるトレーダーですか?それとも、あらかじめ決めておいたルールに忠実に従う方が安心しますか?
トレードのスタイルには大きく分けて2つあります。一つはシステムトレードで、あらかじめ設定した取引ルールに基づき、自動的に売買の判断をするトレーディング手法です。もう一方は裁量トレードで、トレーダー自身の判断に基づいて売買を行うトレーディング手法です。
筆者は現在、主に裁量トレードを行っていますが、初心者の頃にやっていたFXトレードや、個別株をトレードするようになってから数年間はほとんど機械的なシステムに従うトレードを実行していました。
そんな筆者が、システムトレードから裁量トレードに移行した理由と、その過程で学んだことをこの記事で紹介したいと思います。
この記事を読むと
・裁量トレードとシステムトレードのメリット・デメリットが分かる
・筆者が実際にハイブリッド型裁量トレードに至った考え方が分かる
Contents
そもそもシステムトレードと裁量トレードの違いは?
特に初心者の方は、「どちらが自分に合っているのか」と悩むこともあるでしょう。それぞれの手法の特徴や向いているタイプについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、読んでみてください。
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回転寿司チェーンか一流寿司職人か
もちろんシステムトレードと裁量トレードの両者に一長一短あり、どちらが優れているというわけではありませんが、ここで私が結局裁量トレードを選ぶことになった理由を、お寿司屋さんの例えを使って説明します。
見出しのとおり、「回転寿司チェーン」と「一流寿司職人」のどちらを目指したいと思ったかということです。
仕組みが完成すれば最強!だが競合も多い回転寿司 ≒ システムトレード
まず回転寿司チェーンの経営戦略を考えてみましょう。
ビジネスモデル
回転寿司チェーンは、効率性・規模・低価格を武器に、広くたくさんのお客さんに向けて勝負しています。顧客に提供するものを標準化し、ボリュームで利益を出す戦略ですね。売上を伸ばすには、熟練の職人をたくさん育成したり雇ったりすること以上に、低価格の仕入れ、広告戦略、作業のマニュアル化がカギになってきます。
戦略的課題
一度フランチャイズ化に成功すれば、高収益を長時間享受することができますが、そもそもこの仕組みを作り上げる障壁が気の遠くなるくらい高く、軌道に乗った後もライバルチェーンとのパイの取り合いは避けられません。
トレードスタイルとの比較
先ほどのトレードスタイルの比較でいえば回転寿司チェーンはシステムトレードにあたると考えられます。いいシステムが構築できれば強いですが、そう簡単に見つかるものではなく、作った後も定期的にマーケットに合わせて微調整が必要で、場合によってはアルファの源泉が市場参加者に知れ渡ってしまい、前提となるエッジが消滅してしまう場面すらあるかもしれません。
マーケットにおける「アルファ」とは
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技術を身に着ければ一生食える!だが修行が厳しい寿司職人 ≒ 裁量トレード
それでは個人店を構える寿司職人の戦略に目を向けてみます。
ビジネスモデル
個人店を経営する寿司職人は、差別化・高品質・職人技を軸に、高単価を維持しながら、少数のなじみ客に深く刺さる料理を提供しています。マーケティングをおろそかにするわけにはいきませんが、職人技術と目利きで独自のブランドを評価してもらうのがポイントになってきます。
戦略的課題
職人の技術は普遍的なものなので、さまざまな素材を最適に調理することができ、経験年数を重ねるほどにその技術は円熟していきます。しかしよく知られているように、職人の修行には長い期間が必要であり、中には途中で脱落してしまう人もいたり、最終的に全員が同じ水準に到達できるとも限りません。
トレードスタイルとの比較
こちらはもちろん裁量トレーダーに相当しています。マーケット環境の目利きと多彩な引き出しで柔軟に立ち向かうのです。厳しい修行期間を乗り越えることができれば、どんな相場でも自分の出番を厳選して乗りこなせるようになります。しかしもちろん、その技術を身に着けるのは一筋縄ではいきませんし、永遠に勝ち続けられる保証などどこにもありません。
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裁量寄りのハイブリッド型に行き着く
以上のような比較の上で、筆者にとって回転寿司チェーンを作ってメンテナンスし続ける作業はとても困難だと思いました。その一方で、努力そのものが自分の財産になりやすいという意味で、裁量トレードの方向をメインに掘り下げることに決めました。
しかし、システムトレードをある程度の期間経験した中で、機械的にトレードを行うメリットも感じていました。そこで、相場判断は主に裁量で行うものの、ポジションの取り扱いをどうするかはほぼ事前に決めたシステムどおり機械的に行う「ハイブリッド型」のスタイルに行き着きました。
細かいやり方はトレード対象によって変わってきますが、例えば先物・オプショントレードにおいては、相場環境の認識やエントリータイミングの判断は裁量ですが、「日経が〇〇円になったらポジションを半分にする」とか、「日経VIが〇〇%を最初に超えたときはプットを売らずに粘る」など、トレードごとに明文化された方針を一貫して守るようにしています。
以前はマーケットが大きく動いたとき、裁量判断だけだとつい衝動的なトレードをしてしまう癖があったのですが、「ハイブリッド型」の導入により、感情に振り回されずにトレードができるようになりました。
裁量トレードを行うにおいて、まずシステムトレードを経験してから徐々に裁量、またはハイブリッド型に移行していくという方法はとても有効だと思っています。このような視点で、裁量トレードの練習としてシステムトレードを行うことについて三部作の記事を書いていますので、ぜひお読みください。
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トレードは自由です。自由だからこそ自分で考える力が求められるのです。だからこそ、自分に合ったスタイルを模索する旅そのものが、トレーダーとしての成長につながると私は信じています。
この記事が自分自身に合ったトレードスタイルを考えるきっかけになればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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