本日のテーマは「裁量トレード上達のためにシステムトレードを行う」です。
筆者自身は裁量型のトレーダーですが、初心者の頃はかなりシステム寄りのトレードを行っていました。
当時の経験から、システムトレードは裁量トレーダーの上達に役立つ要素があると確信しています。
これから3回の記事に分けて、優れた訓練ツールとしてのシステムトレードに重点を置いて書いていきます。
この記事ではまずシステムトレードが裁量トレードの訓練になる理由と、練習方法の流れを解説します。
この記事を読むと
📌なぜシステムトレードが裁量トレード上達に役立つかが分かる
📌初心者でもできるシステムトレード練習方法が分かる
📌よくある失敗とその対策が分かる
Contents
そもそもシステムトレードとは?
システムトレードとは、あらかじめ設定した取引ルールに基づき、自動的に売買の判断をするトレーディング手法です。
システムトレードと裁量トレードの違いに関しては別の記事で詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。
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システムトレードで裁量トレードが上達する理由
システムトレードを実行することで、次のような効果があると思います。
システムトレードの効果
✅客観性の強化
✅検証可能な手法の理解
✅メンタルと資金管理の訓練
✅データ管理と記録習慣の定着
✅裁量とのハイブリッド化が可能
順番に説明していきます。
客観性の強化
裁量トレードにありがちな「感情的判断」を減らし、ルールベースの思考を身につけられます。
特に初心者のころは、何が正しく何が間違っているのか判断するのが難しいです。
そこで、一定のルールに従うことで、修正点が明確になります。
検証可能な手法の理解
勝つためのロジックはどんな特徴を持つのか、バックテストや検証、リアルトレードを通じて学ぶことができます。
トレードの検証は裁量トレーダーでも推奨されます。
しかし、まずはシステムトレードで体系的な分析方法を学ぶことで、上達のスピードを効率よく高めることができます。
メンタルと資金管理の訓練
自分が信じてエントリーしても、負けることは必ずあります。
しかし正しい資金管理ができていれば、大損を避けられます。
この習慣が「負けを確率で捉える力」を養い、トレードで生き残る力につながります。
データ管理と記録習慣の定着
システムトレードは記録から再検証することが重要です。
トレード日誌をつけることで記録・分析力が高まります。
トレード日誌はあらゆるタイプのトレーダーにとって、上達のための必須要素であり、早い時期から日誌をつける習慣をつけておくことは上達の近道です。
達人トレーダーの日誌
裁量とのハイブリッド化が可能
将来的に「裁量+ロジック」の強力な複合型スタイルへと発展できます。
熟練の裁量トレーダーでも、例えば売買判断は裁量だが、注文執行と手仕舞いはほぼシステム、というようなタイプも多いです。

筆者自身もこのようなスタイルに行き着いた結果、安定して勝てるようになりました。
上記のように、システムトレードを経験することは、裁量トレーダーにとっても様々な成長要素があります。
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注意点:よくある落とし穴とその回避方法
実際にシステムトレードを行ってみると、いくつかの罠があることに気付きます。
特に訓練としてシステムトレードを行う場合は、これらを回避する心構えが重要です。
システムトレードの落とし穴
⚠️過剰最適化(カーブフィッティング)
⚠️過信・盲信
⚠️ドローダウン耐性の欠如
⚠️過度なロジック探し(聖杯探し)

ちなみに、筆者自身もすべて実体験済みです。(正直かなり痛い思いもしました…笑)
それぞれ見ていきましょう。
過剰最適化(カーブフィッティング)
バックテストで「良すぎる結果」は危険信号です。
過去にぴったりはまるパラメータを持ったシステムはいくらでも作ることができますが、合わせれば合わせるほど現実と乖離した戦略になる可能性が高いです。
過信・盲信
システムが絶対に正しいと信じ込むことは危険です。
相場は常に変化しています。
どのようなシステムにも相場に合う時期と合わない時期が存在するためです。
将来的に裁量トレードに応用するなら、相場の環境変化でシステムがどのような影響を受け、どのような方針転換をすればいいのか注視することがヒントになります。
ドローダウン耐性の欠如
どんなシステムでも連敗があります。
しかしどれくらいの規模になるかはわかりません。
メンタル面の事前準備がなければ簡単に崩れてしまいます。
連敗時に自分の心理状態がどうなるか体験することも、システムでトレードの練習を行うときの大事な要素です。
ドローダウンとは
過度なロジック探し(聖杯探し)
次々とシステムを変えると学びが得られません。
最初に選んだ一つを徹底的に掘り下げる姿勢が大切です。
市販のシステムを買うのも注意が必要です。
特に、売買シグナルが自動で出てくるのに、そのロジックが非公開のシステムがあります。
これはユーザーが学べる要素が極端に減ってしまうため、訓練にはあまり適していません。
まずは生き残れ。儲けるのはそれからだ。
上記落とし穴のいずれも、「最初から勝とうとしている」ところに罠の入り口があります。
今はあくまで練習段階と割り切って、勝ち負けよりも学びを充実させることに集中しましょう。
「まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」と言った人の書籍

恥ずかしながら、筆者自身も聖杯探しをした経験があります。
いわゆる黒歴史なので誰も正直に語りたがりませんが、勝ち組トレーダーの多くも、この聖杯探しをした経験があると思われます。
そして、「聖杯など容易に見つかるものではない」と心の底から理解したそのとき、本当の勝ち組に必要なものが分かり始めるのです。
システムトレードを使った具体的な練習方法
では、具体的にどのような順序・方法で練習すればよいかを紹介します。
以下のフローチャートに沿って説明していきます。
システムトレードを使った練習フローチャート
①バックテストと検証
↓
②フォワードテスト
↓
③トレード日誌の導入
↓
④テーマ別のトレード検証
↓
⑤ルールを破った時の分析
① バックテストと検証
まずはトレードルールを一つ決めましょう。
その上で、エクセルや(できる人は)Pythonなどを用いて過去検証(バックテスト)を実施します。
損益の他、勝率、PF(プロフィットファクター)、最大ドローダウンなどを記録しておくとよいでしょう。
PF(プロフィットファクター)とは
検証に使う過去データは、株なら証券会社のツールから引っ張ってきたり、FXならMetaTraderの過去ライブラリを参照するのが簡単です。
検証好きな人にとっては不十分と感じるかもしれませんが、あくまで裁量トレードの練習なので、この段階でこだわりすぎず、次のステップへ進んでしまったほうがよいでしょう。
この時点ではまだ実際のお金(実弾)を使ってのトレードは行いません。
目先の結果で構わないので、ある程度成績がよさそうなルールが見つかったら次の段階に進みましょう。

ここでの目的は、勝つことではなく、練習に使えるトレードルールを開発することです。
② フォワードテスト
過去検証の次はリアルタイムでルール通りに売買を行いましょう。
検証結果と現実の結果にはギャップが見えてくるはずなので、理由を分析していきます。
資金が少ない方は紙の上で仮想売買を行ってもよいですが、可能な限りここからは実際のお金(最小ロット推奨)を使って実行することをお勧めします。

1円でもお金がかかると、精神面への影響が全く変わってきますからね。
③ トレード日誌の導入
フォワードテストを実行しながら、実際にシステムに従ったトレードを記録・反省し、心理の動きや迷いを言語化しましょう。
このとき、結果だけでなく、「自分が何を感じたか」を記録するのが大きなポイントです。また、裁量的な判断が生じたときには、その理由も書くとなおよいでしょう。
いかに充実したトレード日誌を書くかがその後の成長に大きく関わってきます。
トニー・オズ氏の書籍は教科書としても一流ですが、自分の感情も包み隠さず書いたトレード日誌の見本としても一級品です。
達人トレーダーの日誌
④ テーマ別のトレード検証
初心者のうちは自分のスタイルが固まってないことが多いため、いろいろなトレード手法を試すのがよいでしょう。
トレンドフォロー系、逆張り系、ブレイクアウトなど、いくつかのスタイルについて、上記①~③を一定期間継続し、自分の性格に合った「型」を模索していきましょう。
⑤ ルールを破った時の分析
①~④を進めている間に、衝動的にルールを破りたくなる場面が来るかもしれません。
その場合、損しそうだと思っても、(そして結果的にやはり損失だったとしても)まずはルールを遵守することを徹底してください。
一番大事なことはルールを勝手に逸脱しない規律を身に着けることです。
そしてルールを破ったときと守ったときで、結果がどう変わるかデータをとっておきましょう。
データが貯まってきたら、今度はどのような場合にルール逸脱が有効に働くか分析し、1つか2つの項目だけに絞って敢えてルール以外のことをやってみましょう。
これによって裁量が有利/不利に働く場面を理解することができます。
まとめ 続きは次回
🔑システムトレードは裁量トレードの訓練として有効
🔑システムトレードならではの落とし穴に注意
🔑段階を踏んで練習をしていくのがベスト!
次回の記事では、具体的なトレードロジックの紹介と、そのロジックを使った練習の進め方について書いていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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