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システムトレードで裁量トレード上達③ 実践編、おすすめ関連書籍

システムトレード

第一回、第二回に引き続き、今回のテーマは「裁量トレード上達のためにシステムトレードを行う」です。

第三回となるこちらの記事では、最終回として、具体的な練習の進め方について実践フローを用いながら説明し、裁量トレードに移行するときのポイントまで解説します。また、最後にトレード上達に役立つおすすめの書籍をいくつか紹介します。

この記事を読むと

📌裁量トレード上達のために行うシステムトレードの練習の進め方が具体的に分かる
📌裁量トレードに移行するときのポイントが分かる
📌上達のために読んでおきたいおすすめ書籍が分かる

今すぐおすすめ書籍を知りたい方はこちら▽

Contents

前回の振り返り

第一回の記事では、システムトレードが裁量トレードの練習になる理由、初心者でもできるシステムトレード練習方法の概要、よくある失敗とその対策について説明しました。

第二回では、裁量トレードの訓練に適したロジックの紹介と、初心者が陥りがちな注意点を具体的に解説しています。

直接この記事に来てしまった方はぜひお読みください。

▼ 前回までの記事

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👉 まずはこちらを読んでから進めると理解が深まります!

練習の進め方実践フロー

ここではより具体的に練習の進め方を見ていきましょう。

第一回の記事で紹介した練習フローチャートをもう一度貼っておきます。

システムトレードを使った練習フローチャート

①バックテストと検証

②フォワードテスト

③トレード日誌の導入

④テーマ別のトレード検証

⑤ルールを破った時の分析

システムトレード練習フローチャート

①バックテストと検証

まずは前回紹介したような戦略の中から、最も興味のあるものを1つ選びましょう。

初心者向けの例として、「トレンドフォロー型:移動平均線クロス戦略」を取り上げてみます。

下記のようにトレード対象、時間枠、ルールを絞り込みました。

ここで採用する戦略

✅流動性が高い日経平均株価採用銘柄をトレード
✅時間枠は学習効率が高くなるように5分足
✅エントリー:5本単純移動平均線が20本単純移動平均線を上抜けたら買い、下抜けたら売り。
✅エグジット:エントリーの条件と逆のクロスで決済。引けの持ち越しはしない。

ここからバックテストと検証を行います。

トレードしてみたい銘柄を1~3銘柄ほど選び、チャートで目視検証しながらノートやエクセルに日付と時間、トレード内容、損益、勝率、プロフィットファクター、最大ドローダウンなどを書き込みましょう。

これを50~100トレード程行います。

エクセルやプログラミングが得意な方は、データをまとめて処理するシートやコードを作るとより便利です。

②フォワードテスト

バックテストの結果は大まかに分けると3種類あります。

・大きく勝てる
・勝ち負けトントン
・大きく負ける

まず、長い間大きく勝てるシステムが見つかることはほぼありえないと思いましょう。

その上で、成績が良好だった場合はバックテスト期間のマーケット環境とシステムがうまく合っていたということです。

逆に大きく負けていた場合、がっかりするかもしれませんが、「大きく負けるシステム」=「逆のことをやれば大きく勝てるシステム」なので、(検証した期間中において)大きく勝てるシステムを見つけたことと同じです。

しかし、実際は多くのシステムが勝ち負けトントンになるでしょう。

ここでの目的は練習のためのシステムトレードなので、このようなシステムでも問題ありません。

むしろ、手法探しの旅(いわゆる聖杯探し)は、時間を浪費する傾向があるため避けるのが賢明です。

さて、バックテストがひととおり終わったら、仮想売買か実際のお金を使ってトレードを行い、実践環境で感情がどう動くかを含めて観察します。

100円でもお金がかかると心理面への影響が全く変わってくることと、取引ツールの使い方に戸惑わないようにしたいので、筆者としては最小ロットで取引してみることをおすすめします。

③トレード日誌の導入

リアルトレードを行ってみると、バックテストでは見えてこなかった微妙な問題がいくつか見つかるはずです。

今回のケーススタディで見つかりそうな問題

✅シグナルが出た瞬間に成行で注文を出すべきか、指値で待ってから約定させるべきか
✅移動平均線が確定するのを待っていると価格が不利な方向に大きく動いてしまう
✅寄付き直後は価格があまりに暴れるのでやめたほうがいいのではないか
✅(株の場合)空売りはすべきか、空売り手数料は損益にどれくらいマイナスの影響を与えるか
✅決算などによるイレギュラーな動きは無視すべきか

こういった細かい疑問や気付き、感情の動きは大きな学びにつながります。

省略せずにトレード日誌に細かく記入しましょう。

その上で改善アイデアがあればメモし、現在進行中の戦略とは別に、バックテスト・検証を行います。

フォワードテスト中についルールを破ってしまった場合も、その理由と感情をメモしておくとさらに有効です。

【⑤ルールを破った時の分析】にて細かく述べますが、ルール違反に関する細かい分析はここでは不要です。まずはデータを集めに集中しましょう。

トレード日記

④テーマ別のトレード検証

①~③のサイクルを他のトレードスタイルについても行います。

少しずつ裁量の余地が増えていくようにするのがコツです。

本記事の例では最初に「トレンドフォロー型:移動平均線クロス戦略」を採用したので、次は「ブレイクアウト型:HLチャネルブレイクアウト戦略(タートルズブレイクアウト戦略)」または「逆張り型:RSI+ローソク足パターンの組み合わせ」に進んでいくのがよいと考えられます。

ひととおり経験してみると、自分がやりたいスタイルを徐々に絞り込むことができます。

好きなトレード手法が見つかったら、そこに裁量の要素をどんどん足して、システム・裁量ハイブリッド型へと進化させることに焦点を当てていきます。

いろいろ手を出すのではなく、なるべく一つの手法に絞って極めていくのが大きなポイントです。

裁量要素のアイデア例

⑤ルールを破った時の分析

これは裁量に移行する前のとても大事な分析です。

ルール違反が必ずしもトレードにマイナスの影響を及ぼすとは限らないため、まずルール違反によってうまくトレードを改善する方法がないか考えてみます。

その上で、そもそもシステムトレードを行っているのに、感情が邪魔をしてルールを破ってしまうのは心理的な問題があり、裁量トレードへの移行にあたって大きなハードルになりえます。

要因は様々ですが、ここでは実用的な克服方法を書いておきます。

ルールの外部化

チェックリストなどを用意し、「紙に書かれたルール」を優先する。

「期待値脳」を身に着ける

単発の勝ち負けに一喜一憂せず、長期の損益を考える訓練としてシステムトレードを行う。

トレード日誌を見返す

ルールを破ったときに共通の状況や感情を持っていないか確認し、ルール違反のときの損失傾向を浮き彫りにする。

マインドセット用のメモを貼る

デスクや画面に「今はルールを守ることに集中」など貼り紙をして意識的に確認する。

裁量に移行するときのポイント

システムトレードから裁量トレードへの移行

システムトレードで得られる教訓とは?

システムトレードを行うことで下記のような学びが得られます。

システムトレードで得られる教訓

🔑ルールを守る重要性
感情を排した売買の継続がトータルで利益を残すという経験を通じて、感情的な判断の危険性を実感します。

🔑勝率は重要でない
多数のトレードでデータを集めることで、勝率ではなくRisk/Rewardの比率がよい期待値の高いトレードこそが重要という気づきが得られます。

🔑検証による改善プロセス
感覚や雰囲気ではなく、データを集めて検証することがいかに良いトレードに結び付くか理解できます。

🔑裁量の必要性
ロジック化することが難しい環境認識や執行判断について、リアルトレードを通じて身に着けることができます。

裁量に移行する際の活かし方

システムから一気に裁量トレードに変えるのは勇気が必要かもしれませんが、以下のような方法を少しずつ取り入れて、まずは「ハイブリッド型」を目指してはいかがでしょうか。

裁量に移行するプロセス

✅マイルールを持つという意識
✅裁量判断のフィルターを加える
✅再現性のある裁量トレードを目指す
✅計画→実行→検証→改善のPDCAサイクルを繰り返す
✅ルール違反の影響を心の底から理解する

具体的に解説します。

マイルールを持つという意識

裁量=感覚任せではなく、システムトレードを通して学んだ「自分の出番」を明文化し、システムと同じように検証してからトレードすることを意識します。

裁量判断のフィルターを加える

システムで学んだ移動平均線やRSIなどの指標を、シグナルではなく裁量判断の一部として利用してみましょう。

再現性のある裁量トレードを目指す

裁量でも「なぜその判断をしたか?」を振り返ることができるように、トレード日誌に言語化しておき、同じ場面がきたときに再現性のある、より良い判断を目指します。

計画→実行→検証→改善のPDCAサイクルを繰り返す

システムトレードを行う中でPDCAサイクルを自然に回すことができたはずなので、これを裁量トレードでも同じように実施してみましょう。

ルール違反の影響を心の底から理解する

システムでルール違反をしたときの結果を学ぶことができているはずなので、裁量においても衝動的なルール違反が危険なトレードにつながるという意識を持って臨みたいです。

Mewcle
Mewcle

筆者自身も裁量寄りのハイブリッド型トレーダーです。

なぜ筆者自身が裁量トレードを軸にしているのかについて、下記の記事で詳しく解説しています。

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注意:完全な自由は危険

初心者がいきなり裁量トレードを自由、直感、経験で行おうとすると、再現性が崩れ、運任せになってしまいます。

せっかくシステムトレードで「型」を身に着けたのですから、その一部だけを柔軟に調整してみましょう。

少しずつ裁量の要素を追加していくのが、中級レベルまでのトレーダーにとっては安全かつ着実な技術が身につくコツです。

役立つおすすめ書籍

おすすめ関連書籍

今回のテーマに関連して、練習としてのシステムトレードという視点で役立ちそうな書籍をまとめて紹介します。

詳しいレビューや解説は個別の記事で書いていきますので、もし本に興味を持っていただけたらぜひお読みください。

どれもお値段が高めなのがネックですが、発行されてかなりの時間が経っているのに値段が下がらないということは、時の試練を経てなお価値ある書籍だとトレーダー達に認識されている証拠です。

カーティス・フェイス(著)「伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術」

こんな方におすすめ

明確なルールに基づいたトレード戦略の基礎を知り、検証可能な手法で練習を始めたい方

伝説のトレンドフォロー系システムトレード集団「タートルズ」の戦略を暴露する書籍は複数ありますが、こちらの本は戦略の解説、分析方法まで分かりやすく説明されており、何より読んでいて面白いです。

特にトレンドフォローやブレイクアウト戦略を構築する際にとても参考になると思います。

タートルズのトレンドフォローを学ぶ

リンダ・ブラッドフォード ラシュキ(著), ローレンス・A. コナーズ(著)「魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門―ウィザードが語る必勝テクニック基礎から応用まで」

こんな方におすすめ

様々な短期トレード用手法を知り、その使い方や背景にある相場原則を学びたい方

著名トレーダーのインタビューが多数掲載されたジャック・シュワッガー(著)「新マーケット魔術師」に登場する、凄腕短期トレーダーのリンダ・ブラッドフォード ラシュキ氏が自身の手法を含めた短期売買用ルールを解説する名著です。

完全なシステムから裁量判断を要するものまで幅広く記載されており、その多くが適切なマーケット判断の下に運用されれば、現在でも利益が出る手法ばかりです。

こちらの書籍は、他のトレード本と比較してもさらに頭一つか二つ飛びぬけて高価ですが、先ほど述べたように、古いのに高価だということは…であり、このブログ記事で説明した練習用システムに最適な素材がたくさん見つかることでしょう。

凄腕の短期売買手法を学ぶ

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アレックス・グレイザーマン(著), キャスリン・M・カミンスキー(著)「トレンドフォロー戦略の理論と実践 金融危機に負けない賢者の投資法」

こんな方におすすめ

トレンドフォローがなぜ機能するのかしっかり自分の中に落とし込みたい方

トレンドフォロー戦略が機能する理由を様々な側面から解説した本です。

トレンドフォロー戦略は1回の勝ち金額が大きい代わりに勝率が低いため、長いドローダウン期には「この戦略は本当に勝てるのだろうか」と自信を無くしてしまいがちです。

どちらかといえばファンドや機関投資家向けの論調で書かれていますが、個人トレーダーにとっても大いに参考になります。

特に順張り派にとっては勇気づけられる一冊でしょう。

トレンドフォロー戦略が機能する理由を学ぶ

ジョン・スウィーニー(著)「損切りか保有かを決める最大逆行幅入門」

こんな方におすすめ

すでにある程度自分の手法が固まっており、収益率をさらに向上させるためのデータ検証を行いたい方

こちらの書籍はやや知名度が低いかもしれませんが、トレードの検証にあたって大変役立つ概念「MAE(最大逆行幅)」について解説している本です。

MAEとは、簡単に言えば、そのトレードが最大でいくらの含み損を抱えたかという指標です。

いつもはRisk/Reward=1:2のところでロスカットと利食いを設定しているものの、勝ちトレードのMAEが0.5ばかりというデータが検証によって得られた場合、0.5以上の含み損を抱えたトレードは統計的に負けトレードになりやすいと言えます。

この分析によって損切りポイントをよりタイトにすることができ、利益率の向上が見込まれるのです。

また、MAE分析によってタイトなロスカットが採用できる点を応用し、一般的に悪手とされる「マルチンゲール型ナンピン戦略」についてもフラットな立場から解説されており、他に類を見ない着眼点で非常に興味深いです。

こちらを読むことでトレード検証のレベルを一段引き上げてくれるでしょう。

マーク・ダグラス(著)「ゾーン — 相場心理学入門」

こんな方におすすめ

ルール通りにやっているのに負ける、メンタルが乱れてルールを守れないと感じている方

トレード心理学のエッセンスが込められた一冊です。

同じような話が繰り返されるので、最初に読むときは途中で飽きてしまう可能性もあります。

Mewcle
Mewcle

筆者も初めて読んだときは「もういいよ」と思ってしまいました。

しかし、自分のトレード歴が長くなるほどこの本で述べられている内容が腑に落ちてきます。

トレードで行き詰ったとき、ぜひ何度も読んでみてください。

こちらの続きで、同じくマーク・ダグラス(著)「ゾーン 最終章──トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス」という本もあり、こちらもまたおすすめです。

トニー・オズ(著)「オズの実践トレード日誌 ― 全米ナンバーワンデイトレーダーの記録公開」

こんな方におすすめ

達人級トレーダーが実際どのようにトレードを実行しているのか知りたい方

アメリカの著名な凄腕株式デイトレーダーであるトニー・オズ氏が、実際の売買について勝ちも負けも包み隠さず全て記されたトレード日誌です。

「ITバブル」とも言われた時期のアメリカ株式市場(しかも下げ相場!)で、驚くべき利益率を買いオンリーで達成するまさに達人のトレードを見ることができます。

トニー・オズ氏は裁量型のトレーダーですが、その手法は支持線と抵抗線、ブレイクアウトなど大変シンプルでベーシックな戦略を自在に操り、まさに教科書的な「損小利大」のトレードばかりを実行しています。

また、特にトレードの執行はかなりシステム的に行われて、本記事を読んで裁量に移行しようとしているトレーダーにとって参考になることは間違いありません。

一方で、これだけ奇跡的な利益を上げられるトレーダーにおいても、リベンジトレードをしてしまったり、取り逃した利益を悔しがったりする瞬間がしっかりと記載されています。

リアルトレードにおける精神面の苦悩は達人であれど避けることはできず、うまく対応する必要があるということも、この書籍から学ぶことができるでしょう。

「勝つ思考」を身に着けるには最適の書籍です。

達人裁量トレーダーの売買を学ぶ

最後に システムトレードで規律と柔軟性を身に着けよう

規律と柔軟性

🔑トレード日誌をしっかりつけながらPDCAサイクルを回す
🔑システムから徐々に裁量要素を取り入れてハイブリッド型を目指すのが近道
🔑長い間読まれ続ける書籍でトレードを学ぶ

3回に分けて、システムトレードで裁量トレードの練習をする方法を解説してきました。

システムトレードを行うことで、データ重視の姿勢、感情を排する経験、ルール遵守の重要性など、裁量トレードで必要となる強力なツールを手に入れることができます。

この記事が、遠回りを避け、トレーダーとして成長するための最短経路を見つけるきっかけになればと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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  • この記事を書いた人
Mewcle

Mewcle(みゅーくる)

30代で不動産FIREを達成し個人トレーダーになった元証券トレーダー。
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