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運営者プロフィール:就職から不動産FIRE、個人トレーダーになるまで

Contents

基本情報

簡単なプロフィール

Mewcle

名前:Mewcle(みゅーくる)

30代、個人投資家/資産管理法人オーナーとして、不動産と株トレードで生計を立てています。

大手証券会社で株トレーダーとして働きながら2018年より不動産投資を始め、2024年にFIREを達成。以降個人トレーダーとして個別株・日経先物・日経オプションを中心にトレードしています。

当ブログ「クリア後の世界とデイトレード」

当ブログ「クリア後の世界とデイトレード」では、10年以上マーケットと対峙してきた中で得られた株式投資哲学、自分が経験してきた不動産投資戦略、FIREについて情報を発信していきます。

RPGやアクションゲームなどで、ストーリーは完結したものの「ゲーム」自体はまだ遊べる、あるいはクリア後に展開していく新しい世界を「クリア後の世界」と呼びます。

当ブログタイトルは、これになぞらえて、会社員卒業後の世界をこのように表現しています。

決して現在会社員をされている方を下に見ているわけではなく、あくまで自分の中における人生の大きな一区切りという意味で使っています。

コーヒー

ここから先はさらに詳しい経歴となりますが、とても長くなってしまったのでコーヒーでも片手にお読みください。

私はグアテマラの深煎りが好きです。

マーケットとの出会い

始まりはFXから

大学院修士まで物理を専攻していました。

その先の生活を考え始めたとき、自分のお金を投じれば真剣に経済を勉強できるはずと考えて、資金10万円でFXを始めました。

当時2014年、アベノミクス全盛期が終わり、チャイナショックが発生する直前、ドル円がちょうど100円くらいの時期でした。

もちろんマーケットにおける戦略やマクロファンダメンタルなど知りもしないので、今となっては投資初心者丸出しで恥ずかしいのですが、テクニカル分析でひたすらチャートを切り刻みながら必勝法を探していました。

そして3か月ほど実践してみたテクニカル手法がたまたま相場に合っており、20回ほどの売買でトータル1万円ほどの利益が出ました。

これがきっかけで、より投資・投機の世界に興味を持つようになりました。

FX

この時期によかったのは、システムトレードを通してトレーディングの基礎が身についたことです。

たとえ必勝法などではなくとも、資金管理を徹底し、機械的にトレードを継続することで、ナンピンによる破産や衝動的な高値のジャンピングキャッチといった初心者が陥りがちな失敗は、ある程度回避できると学びました。

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証券会社に就職し株オプショントレーダーに

意識の低い就活生

就活

一人暮らしをしていた私の部屋に、親が便利な無料ホテルのごとく頻繁に泊まりにくるのがとても嫌でした。

かといって家賃を払ってもらっている立場から無下にもできず、という状況だったので、修士課程を卒業したら就職して、金銭的に独立したいという強い願望を持っていました。

一方で、就職しようにもやりたい仕事が思いつかないという問題がありました。

物理専攻で定番の進路は、博士課程に進んで大学研究者になるか、企業に就職して研究員になることです。

大学の勉強は嫌いではなかったのですが、大学院での研究という営みがどうしても退屈で、似たような仕事をあと40年くらいやるのかと考えるだけで気が重くなりました。

もちろん就職活動にはあまり積極的になれませんでした。企業のインターンシップには参加しようとも思わず、適当な気持ちで企業説明会に参加しつつ時間だけが過ぎ去る毎日でした。

転機となった就活説明会

大学が主催する、物理学生向けの企業説明会での出来事です。

普段はメーカーばかりがずらりと並ぶのですが、大手金融機関が数社参加してきた回がありました。

物理学専攻の学生向けに説明に来るということは、主にクオンツ(数学を駆使してマーケットを分析する人)の採用を狙っているということです。

その時参加していた金融機関も、ほとんどがクオンツコースの採用を念頭に置いて自社説明を行っていました。

当時FXで経済の勉強を始めたばかりの私には、自分にも金融という道があるのかと新鮮な驚きがありました。一方で、そもそもプログラミングが嫌いな私にとってクオンツの仕事は強く興味を引かれるほどではありませんでした。

クオンツの実態が分かる面白い書籍

しかし、一番最後の順番で回ってきたある大手証券会社の担当者は現役の株トレーダーで、その仕事を熱く語る姿勢を見て、直感的にこれだ!と思いました。

「今まで目の前に敷かれたレールに沿って歩んできた人生だったが、レールを切り替えるのは今しかない、今動くんだ!」

という声が頭の中に響き渡りました。

チャンス

あなたなら、この場面でどのように振舞いますか?

私は授業で一切質問をしない(悪い生徒)タイプなのですが、その説明会ではチャンスを逃すまいと積極的に質問を重ねた結果、研究職志望の学生が多い中で目立つ存在になっていたと思います。

しかし運よくその場における積極性を評価してもらえたようで、すぐに会社での面談に呼ばれ、とんとん拍子に内定が決まりました。

私はもともと慎重派なので、人生で最もリスクをとった瞬間がこの就活エピソードになるだろうと当時は思いましたが、その数年後さらに大きな決断をすることになるとは…。

オプショントレーダーになる

株の自己勘定トレーディング部門というところまで決まった状態で、数名の同期とともに入社しました。

マネージャーの話し合いによって、私は株式オプションを担当する課に配属となりました。おそらく物理学というバックグラウンドが考慮され、複雑な金融商品であるオプションを扱わせようと決まったようです。

もともと金融工学は経済に興味を持ったアメリカの数学者や物理学者が中心になって展開した学問なので、私がここに行き着いたのも自然な流れだったのかもしれません。

そして、すぐにオプションが大好きになったので、結果としてとてもよかったと思います。

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マーケットから学ぶ日々、自己投資と読書

読書

まずは勉強しろ、儲けるのはそれからだ

さて、証券会社に入社してトレーダーになったはいいものの、私には金融知識が全くありません。

入社後に基礎的な金融知識を学ぶ研修はありました。しかしそれでは現場の知識は不十分でした。

結局のところ重要だったのは、先輩の横で仕事を教わりながら実務で知識を身に着け、余った時間は自己研鑽で勉強する、というスタイルでした。

株式オプションが担当なので、まず金融工学を勉強しなければなりません。

入社直後はコンプライアンス研修などが完了しておらず、実際のトレードはできない期間があったため、その時間を利用してジョン・ハル (著)「フィナンシャルエンジニアリング―デリバティブ取引とリスク管理の総体系」を読破するように命じられました。

分厚い本ですが、非常によくデリバティブの基礎がまとまっており、デリバティブビジネス関係者からは聖書とも言われる名著です。

また、入社後の準備が整い次第リアルマネーでのトレードも始まりました。

学生時代にやっていたFXの手法を流用しながらやってみましたが、過去のトレードはおままごとだったとすぐに気づきました。

初めからやり直す気持ちで「トレード本 おすすめ」などで検索して出てくる本を片っ端から読みました。立場はプロでも、上達のためにやっていることは個人トレーダーとあまり変わらなかったと思います。

そしてこの頃から裁量トレードの重要性を意識するようになりました。

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自己研鑽

当時の部長から、入社1-2年目の成長率でその先の仕事ぶりが全く変わってくると言われていました。

そこで、オプションやトレードの勉強以外にも、会社から取得を求められていた証券アナリスト資格、エクセルVBAエキスパートというIT資格、簿記二級にチャレンジしたりしました。

朝4:30に起床して日経新聞の(スポーツ欄以外)すべての記事を読み、テレ東のモーサテを視聴し、電車の中で本を読み、会社近くのスタバでトレードや資格の勉強をしてから出社しました。

今こうして書いているだけでも恐ろしいほど真面目にやっていました。20代のバイタリティは底知れないですね笑。

もちろん夕方になるとへとへとで、平日は22時頃に就寝していました。終業後に同期で集まって飲み会などもありましたが、私には遊ぶ元気も時間もありませんでした。

オプションの勝ち方を学ぶ

オプションの使い方が全くわからない…

トレード対象の商品性を学ぶことと、勝ち方を学ぶことは全く別の話です。オプションも例外ではありません。

とりあえず上司に言われるまま、名前がついている代表的なオプション戦略、ストラドル、カレンダースプレッドなどを実際に順番に組んでみて、日経先物でデルタヘッジする練習をしました。

しかし、実際どういう場面でオプションや先物を売買するのが期待値の高い行動なのか、マーケットに接してみると全くわかりませんでした。

私の他にもう一人オプショントレーダーの同期がおり、(今考えると本人がオプションを理解していたのかは怪しいものの、)私より好成績を上げていたので悔しい思いをすると同時に、早く利益を出せるようにならなければと焦りが高まりました…。

オプションがわからない

ボラタイルなマーケット環境とショック相場で勝ち方を学ぶ

2016年入社だったので、原油大暴落、Brexit、第一期トランプ大統領選挙など、「ブラックスワン」と呼ばれるショック相場イベントが盛りだくさんでした。

市場のボラティリティが高まるタイミングはオプショントレーダーにとってチャンスであり、学ぶ機会が多い相場を何度も経験できました。

2017年ごろから、特にオプション戦略について自分なりの取り組み方が固まり始め、2018年のVIXショックで最高益を出すことができ、自分のやり方に自信が持てるようになりました。

勝てるようになった転換期はいつか?と聞かれれば、この時期ということになると思います。

同時に、将来は個人トレーダーとして生計を立てることができたらいいなとぼんやり考えるようになりました。

不動産投資との出会い

"あの本"に出合う

お金についての本をたくさん読むようになったので、その中には「例のあの本」が含まれていました。

そうです。FIREした投資家が口をそろえて名著と語る、ロバート・キヨサキ(著)「金持ち父さん 貧乏父さん」です。

私も投資でFIREを目指すことを考えました。

自分が株式トレーダーなので最初に思いつくのは株式配当によるFIREですが、勤めていた会社の規約上、トレーダーが個人名義で株式投資をするのは制限が多く非現実的でした。

そこで不動産投資をやってみようと思いました。

同年代と比較すると私の給料はかなり高水準で、会社の社会的信用度も高かったため融資が受けやすく、不動産投資であれば自分にアドバンテージがあるのは明らかでした。

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金持ち父さん貧乏父さん

逆転の発想?

同時に大事なポイントに気付きました。

よく言われるのが、安易に会社員を辞めて個人トレーダーになるのはとてもリスクが高いので、せめて副業で収入を得る仕組みを作ってからやれ、というアドバイスです。私も全く同意します。

しかし逆に考えると、不動産投資で安定した副収入を作ることができれば、個人トレーダーとして生き残れる確率がぐんと上がります。

結局鳴かず飛ばずで個人トレーダーとしての道を諦めるという未来になるかもしれません。しかし、不動産収入があれば再就職はせずとも細々と生きることはできるのです。

株やFXトレード、あるいは不動産でお金を増やしてFIREする、というのが多くの人が考える順序かと思いますが、私は先にFIREしてから個人トレーダーになるという道筋を考えました。

それができるなら苦労しないし、お金を稼ぐ必要がないなら個人トレーダーとしては張り合いがないだろう、という意見もあると思います。

しかし私の目標はFIREすることではなく、個人トレーダーになることです。

たくさんの専業トレーダーが生活費のプレッシャーに押しつぶされ退場していった、というエピソードは枚挙にいとまがありません。

トレードの本質はメンタルだと気付き始めた時期だったため、慎重派の私にとって、不動産による生活費の確保が個人トレーダーに転身するための最低条件のように感じました。

不動産投資のフロー

金融の勉強がいつの間にか不動産の勉強に

「金持ち父さん 貧乏父さん」を読んで以降、私の読書リストはほとんどが不動産投資本で埋め尽くされました。

自己研鑽の勉強も宅建や電気工事士二種(家庭用の配線をいじってリフォームできる)といった完全に不動産を意識したものになりました。

さらに、「健美家」という不動産ポータルサイトに掲載されていた、現役不動産投資のブログも毎日読み漁りました。

最初に不動産を買ったのは2018年の夏でした。やはり慎重派な私は、少額で購入できて失敗のダメージが軽いとされる築古戸建を400万円ほどの融資で買い、150万円ほどリフォームをかけて貸すという戦略をとることにしました。

銀行の不正融資が一斉に摘発された「スルガ・ショック」の直前だったので融資は簡単に引くことができ、割安で募集したため入居者もすぐに決まりました。

2019年に結婚 FIREは後回し

結婚

FIREよりライフイベントを優先

2019年に結婚をしました。

一般的にFIREを目指す場合、結婚や出産は大きな出費を伴うので慎重になるべきと言われます。

しかし、FIREは私にとって目的ではなく一つの目指すべき通過点として捉えていたので、たとえ達成が遅くなろうともそのタイミングでしかできないライフイベントを優先させたい思いがありました。

また、ここで不動産投資に理解があり、協力的なパートナーを選ぶことができたのも幸運だったと思います。

結婚式もわりと盛大に挙げたので、投資用の現金は一気に減りました。

戸建投資は多額の現金がないと仕入れでつまづいてしまうので、2件目以降の物件を買えたのは2年後の2020年になってしまいました。

コロナで在宅のうまみを味わう

在宅最高

2020年、コロナが蔓延し、私の会社もフル在宅勤務となりました。

当初はトレーダーがリモートで勤務すると社内コミュニケーションが滞ってまずいという懸念がありましたが、特に私のチームは元々チャットによる会話がメインだったので何の問題もありませんでした。

むしろ突然後ろから話しかけられたり、常時オンラインのスピーカー越しにセールスからプライスリクエストを叫ばれたりすることが無くなり、マーケットに集中できて非常に快適だと思いました。

会社トレーダーの葛藤を目の当たりに

トレードの方では、コロナの暴落相場ということもあって私のオプション戦略はうまくいっていました。

一方、対顧客ポジションで暴落に弱い複雑なリスクを持っていたことが災いし、上記オプション戦略によるプラスを桁違いに上回る大損を経験することになりました。

この時期の私はまだ若手扱いで、上司の管理下で対顧客ビジネスを回していたため、私に対して直接的な損失に関する追求はありませんでしたが、やはり上司はかなり厳しいお叱りを受けたようでした…。

対顧客のビジネスなので、期待値的に大きなプラスが見込まれるトレードを実行し、結果的に最悪のシナリオが最悪のタイミングで起きた、というのが事実です。

最悪が想定できていなかったのではなく、そのリスクを呑んだ上で(上司とも相談の上)実行することに決めたトレードでした。

しかし、トータルで見た損失額はそこまで大きくないものの、大きな含み益が急に損失に転じたため、会社の上層部にとって非常に見栄えの悪い形でした。

個人トレーダーであれば、単に大損したが立ち直れないほどではない、ここから学んで次はうまく立ち回ろう、で済まされる内容です。

しかし、会社所属のトレーダーとして働くということは、管理者からのある種理不尽ともいえる要求(多くは「大儲けしろ、だが損失を出すな」あるいは「毎日プラスを出せ」)をのらりくらりとかわす必要があり、出世すればするほどその葛藤は深まっていくのだということを学びました。

この経験によって、FIREへの思いがより強くなりました。

理不尽

順調な不動産投資

コロナ禍でも不動産市場はしっかり動いており、私も2020年に1件、2021年に2件と立て続けに戸建を購入することができました。

スルガショックで不動産融資への風当たりが強まっていたため、1件目とは異なり、物件自体を現金購入してリフォーム費に関して融資を引くという戦略に切り替えました。

会社の同僚には内緒で不動産投資をやっていたため、平日の昼間に堂々と不動産関係の電話に出ることができるのはとても良かったです。

ほぼ私服で一日過ごせますし、通勤もなく仕事が終わった瞬間にリモート接続を切断してプライベートの時間が始まるのがストレスフリーでとても好きでした。

もしコロナが収束してもずっとリモートで働きたいと思いました。

再びフル出社!体調を崩し働き方について考える

認められない在宅勤務

金融というのは基本的にお堅い世界です。

コロナで仕方なく実施されたリモートワークでも業績が落ちなかった、むしろ好調だったという事実があるにも関わらず、2022年ごろからオフィス回帰を求められるようになり、2023年にはフル出社に戻ってしまいました。

一応個別の事情があればリモートOKとはされていましたが、単にリモートが好きだからという理由は認められず、特にトレーダーは原則全員出社という謎の決まりができました。

私は会社から意見を求められるたびに、柔軟な働き方を認めないとこの先いい人材を雇えなくなるぞと、この方針に反対を表明していました。

しかし、どうやらリモートが大嫌いな重役がいたらしく、全く聞き入れてもらえませんでした。

「若手の意見を積極的に聞きたい」と言いながら、実際はこちらの意見を一蹴して取り入れようとすらしない経営者達の態度に不信感を覚えました。

負担が重なり体調を崩す

オフィス出社が再開した時期から、仕事とプライベートの両方で私を取り巻く環境が大きく変化しました。

まず私自身が管理職に出世し、後輩の面倒を見る必要ができたことに加え、より上位の立場でビジネスを管理することが求められるようになりました。

また、第一子が生まれて広い部屋が欲しいということで、初めて自宅マンションを購入することになりました。

いずれも喜ばしいことではあるのですが、多忙・ストレス・睡眠不足などが一度に大きく重なり、難聴と歩けないほどのめまいを繰り返すメニエール病という難病を発症してしまいました。

人から話しかけられても聞き返したり、そもそも話しかけられていることにも気づかないようなことが増え、仕事上のコミュニケーションでも支障が出るようになりました。

せめて在宅勤務がキープできたなら…という思いがあり、上記のような会社とのズレが加わったことで、今すぐFIREしたいという願望が現実味を帯びてきました。

今でしょ

FIREへの準備は整った

不動産投資では初めて土地から仕入れる新築アパートに挑戦しました。

というのも、もしFIREするのであれば、退職後は会社員の属性を利用して大きな融資を引くことはできなくなると考えたからです。

同じ年に自宅マンションも購入したので、1年のうちに借金の総額が2億円近くまで跳ね上がりました。

この時期には資産管理法人も立ち上げ、戸建もさらに買い増ししたため、慎ましやかな生活ならカバーできるキャッシュフローが得られるようになっていました。

退職してクリア後の世界へ

The red pill and blue pill

条件は整っていました。

ただ、あと数年会社員を頑張ればさらに物件を買うことができて、より悠々自適なFIREに近づくことができる、というジレンマがありました。

しかし、「もうFIREして個人トレーダーになれる条件は整った」という考えが一度頭の中をよぎるとこびりついて離れません。

さらに悪いことに、仕事へのやる気が全くわかなくなってしまったのです。

会社員を辞めるという決断の背中を押す口実はいくらでも思いつきました。体調が悪い、毎日自宅から働きたい、人間の管理ではなくトレーディングだけに集中したい、上司に自分の損益の言い訳をしたくない、昼間でも子供の面倒をみたい、などなど…。

「今がそのときだ!」

例の声が頭の中に響き渡ります。

The red pill and blue piill

"You take the blue pill... the story ends, you wake up in your bed and believe whatever you want to believe. You take the red pill... you stay in Wonderland, and I show you how deep the rabbit hole goes."
「青い薬を飲めば… 物語はそこで終わりだ。自分のベッドの上で目覚めて、そこからは自分が信じたいものを信じればいい。赤い薬を飲めば… 不思議の国にとどまることができる。このウサギの穴がどこまで深いのか見せてやろう。」 -映画『マトリックス』(1999年)より-

苦しいラストダンジョンを乗り越えてクリア後の世界へ

休職ではなく退職を決断

病気を理由に長期休職するという選択肢もありました。

傷病手当金がもらえるので、1年ほど休んで、それでも復職したくなければ辞めるという手段がとれます。

賢い人は最初から退職前提でこのような休職制度を利用するのかもしれませんが、私は個人トレーダーになりたいという願望を持っていました。

休職の場合、会社に所属したままになります。個人投資の制限もそのままなので、自由なトレードはできません。

相場の上達には経験値が欠かせません。長期間のブランクを作ることはトレーダーとして後退を意味すると考え、心の声に従い、「クリア後の世界」へ向かう決断をしました。

2024年の前半でした。個人用証券口座の開設手続きの最中だったので、同年8月の大暴落にしっかり参加できなかったのはとても残念でした。

決断から実際に辞めるまでが一番つらい

人生で一番苦しかった時期はいつですか、と聞かれれば、この時期を答えることになるでしょう。

辞める決断はしましたが、前年分の働きが反映されたボーナスは受け取りたかったので、決断から半年ほど、会社の誰にも相談しないまま働く必要がありました。

仕事の意欲はわかないし、ミスばかり。達成されることのない次年度の目標を立てる。担当者不在(私の退職)で打ち切りが確定しているプロジェクトの立ち上げ…。

まさに虚無

退職の意志を伝えたあとに有給消化できるからということで、理由もなく休むことはしませんでした。

しかし、もともとの体調不良やコロナの罹患が重なり、結局不自然な頻度で休んでしまい、上司から余計に心配されてしまいました。

あまりにつらいので社内心理カウンセラーと面談したり、日めくりカレンダーを購入して「退職の意思表示をする日」と書き込んで毎日めくりました。

最初は日数ベースだったのが、営業日ベースになり、最後は休暇予定日を加味した残日数、というふうにどんどん減らしていきました笑。

クリア後の世界

そして最後の日。

嬉しいような寂しいような、不安や期待など、いろいろな思いが入り混じった感覚で会社を後にしました。

ブログの開設とデイトレード

個人投資家ならではのトレード

会社員トレーダー時代でもFIREを念頭に置いていたので、個人投資家になっても実行可能なトレードを心がけていました。

しかし、逆に個人投資家にならないとできないトレードがあります。例えばIPO、立会外分売、(特に小型株の)デイトレード*などです。

前者2つは個人特有なのでわかりやすいかもしれませんが、デイトレードも実はあまり業者向きの戦略ではありません。

デイトレードは少額でヒット&アウェイを繰り返して小さな利益を積み重ねる戦略です。

大手証券会社のトレーダーのように、大きな資金を動かす投資家にとって、流動性や資金効率の面でうまみが少ないのです。

また、顧客対応が重要な仕事なので、トレード画面に張り付くと、突然の顧客リクエストに時間を割けなくなります。

注*)すべての証券会社所属のトレーダーがデイトレードをしないわけではありません。このあたりの事情は会社の規模・戦略・トレーダーの職務範囲によって大きく異なります。ここに記載しているのはあくまで私が経験していた範囲の内容です。

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「クリア後」ブログの開設

個人投資家としてのキャリアを一から始めると同時に、これまで私が培ってきた経験はオリジナルのものであり、必ず誰かの役に立つだろうと思ってきました。

そこで、10年以上マーケットと対峙してきた中で得られた株式投資哲学、自分が経験してきた不動産投資戦略、FIREについて、ブログという形で情報を発信していこうと思い、このブログを立ち上げました。

デイトレード

最後に 真のクリア後を目指して

最後まで読んでいただきありがとうございます。

自由のための逃避行

私のここまでの生き方を短くまとめると上記のようになると思います。

詳しくは書いていませんが、中学・高校を自分の意志で選んだときから逃げの傾向がありました。

大学は実家の束縛からの逃避、就職は面白みを感じなくなった研究と親の金銭的縛りからの逃避、会社員からの逃げ道をつくるために始めた不動産投資、そして退職。

逃げるという行為が必ずしもネガティブとは限りませんし、時には必要です。

「退くも勇気」です。

実際に周りに流されるだけの生き方では見ることができなかったであろう景色を味わえることに対して、私は満足感を覚えています。

真のクリア後

隠し要素を攻略して真のクリアに近づく

ここまで読んでいただいた我慢強い読者の方ならお分かりかもしれません。

「クリア後の世界」といっても私が到達したのは、ラスボスをごまかしごまかし小細工で倒し、とりあえずエンドロールを見ただけの状態にすぎないのです。

一生遊んで暮らせるお金を稼いだわけでもなく、これまで身に着けたトレード戦略も突然稼げなくなる日がくるかもしれません。デイトレードもまだ修行段階です。

では「真のクリア後」とは何なのでしょうか。

そんなものは存在しないのかもしれません。使い切れないほどのお金を稼いだ状態?なんか違う気がします。きっと違うのでしょう。

しかし今の私には会社員のときには手に入らなかった自由と時間があるのです。

真のクリア後が何なのかはわかりませんが、私にはFIREしたらやりたいと思っていることが山ほどあり、私はこれをクリア後の隠し要素と位置付けます。

その一つが、日本株オプショントレーダーというキャリアを通して学んだことや、FIRE達成の道筋、自分だけのクリア後の隠し要素を一つ一つ攻略する中で発見したことをブログで発信し、トレードで悩んでいる方、不動産投資やFIREに興味がある方など、さまざまな読者に役立てていただける情報を提供しながら、自分自身も成長することなのです。

まだまだ未熟な私ですが、読者が少しでも参考になる情報を発信できるよう今後も努力していきます。

ありがとうございました。

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